2024.03.01
天王洲アイルの駅を降りて新東海橋を渡るとき、後ろを振り返るとそこに三味線を弾く女性を描いた作品”The shamisen”Shinagawa2019がある。
“The shamisen”Shinagawa 2019 by ARYZ
鈴木春信の浮世絵「見立芥川」が題材とされていて、この作品を目にすると天王洲アイルに来たのだなあという実感が湧いてくる。私にとってはランドマークになるだろう。
天王洲アイルは、東西南北の四方を水辺に囲まれた埋立地だったことから、英語で「島」の意味を持つアイル (isle) の名が付けれられた所だ。街開きの当初の1990年代初頭、ウォーターフロントのボードウォークは、トレンディドラマのお馴染みの光景だったことが今となっては懐かしい。
三十余年の時を経た今は、寺田倉庫のミュージアムができたり、shamisen等のアートが街の至るところに設置されたりと芸術文化の発信地へとその姿を変えつつある。
街の新陳代謝がきちんと進んでいて、新しいものを取り入れながらアップデートしていく現在の天王洲アイルの様子を見ると、時代に応じた手入れ、言うなれば良い歳の取り方のようなものを意識してみたくなってくる。
私自身も、いつまでも若さを謳歌できるわけではないことがどうやら確からしい中で、「今日の私が一番新しいよ。」と言いきれるような、積み重ねた日々の証左になるものを小脇にいくつか抱えられていたら良いなと思う。
例えば、気の置けない友人やこだわり抜いた作品だったりとそんなもの。
派手さはなくとも、それこそが私の中で長い年月を掛けて醸成される文化と呼べるものになるだろうから。