冬が始まり、朝方には冷えを感じるようになってきました。
晩秋から初冬を迎える今頃は、ストーブを付けようか付けまいかのチキンレースを繰り広げるのが我が家の習わしとなっていて、デッドヒートを繰り広げることなく十中八九は11月の間に暖かな火が灯されます。この一連の所作に「暖の迎え」とでも名前を付けてみようものならあら不思議、隙間風吹く我が家の断熱性のアレさもやせ我慢すらもかき消し、「風情がありますね」で淑やかにまとめることができるのですから言葉選びの大事さがわかろうものです。
そんな暖の迎えの時期は、私の趣味の一つのジョギングにおいても冷えを意識し始めるようになってきます。
それは、気候的な長距離への走りやすさとしてメリットなることもあれば、温い寝床に体を幸せの名の下に縛り付けることもあるわけで、かつては走り出すまでの塩梅を整えるのにいくらか頭を使う必要がありました。
いわゆるところの「走りに行きたいけど、外は冷えるかもしれないし~寝不足だし~楽しいとも限らないし~」とのたまう内心の同居人に「走りに行きたいなら、楽しいかもしれないし~痩せるかもしれないし~」的な相手をする例のやつです。
彼との長年の付き合いのうちに私もおじさんとなりふわふわの不惑をとうに迎えてしまったので、最近は内心をいなしあうのもめんどくさくなってきています。「うるせえ!楽しいに決まってんだろ!好きなことしにいくんだから!」で走りに行くか「うるせえ!眠いんじゃ!ボケ!」で寝るかの二択で気持ちの強い方で一瞬で事は決します。
この勝敗、十中八九でランニングが勝つかと思いきや五分五分の結果となっています。まあそんなもんです。
でもね、どちらの結果にせよ惑わずにすぐ決まるっていうのは健やかなものですよ。それだけでもおじさんへのなりがいがあったと言っても過言ではないでしょう。
そんなとある日の週末は、五分五分の勝負を走る派が勝ち取りましたので備忘録がてら、夜明けの流山ランをまとめあげておくとしましょう。
いつもここから。十太夫近隣公園スタート
ジョギングのスタートは、近所の十太夫近隣公園から。流山おおたかの森駅からはだいたい徒歩7-8分くらいの場所にある公園です。
週末の日中には、子どもたちの笑い声が響きく実に2019年らしい流山を垣間見ることができます。また公園の西側にはかつての雑木林がいくらか残されており、街の開発前のその昔「森だった」往時を偲ぶことができます。
この雑木林に東の空から昇る陽が射す光景は、私のフェイバリットの一つでもあります。
1km おおたかのアンダーパス
ここを起点に江戸川へと向かいます。バーン&フォレスト148のあるおおたかの森北交差点まで出たら、右折して都市軸道路沿いを進みます。
しばらくするとアンダーパスがお目見えしてきますので、野田線(東武アーバンパークライン)をくぐり抜けます。
こちらのアンダーパスで野田線をくぐるときに少しばかりのアップダウンを楽しむことができます。アンダーパスは緩やかなカーブを描いていますから、夜訪れるとナイスなテールライトを写真に納めることもできます。
道沿いに都市軸道路を抜けるとエスシープレコン前と出てきますので坂を下ります。流山警察署前を谷底とした谷津田らしい地形に恨み節を唱えながら、茂呂神社までいくばくかの坂上りです。
2.5km 消防署前の通りは迂回路へ変更
茂呂神社から流山消防署前の通りでは迂回路が準備され、道路変更の準備が進んでいました。(2019年12月2日現在は既に変更済)
なんで迂回路まで作ってるのさ?という疑問の答えには新流山橋の計画が大きく影響しています。都市軸道路の一環として工事の始まった新流山橋は、江戸川を渡る部分だけが橋になるのではなく、地形的な高低差の関係から茂呂神社交差点を少し過ぎた辺りから高架となる予定となっています。本来の道に橋脚を立てるための迂回路が運用されているわけで、完成の頃には下図のようにさぞ風景も様変わりすることでしょう。
3.0km 小谷商店の蔵に水運の街の面影を見る
流山消防署を過ぎると江戸川の堤防までもう少しとなります。ここまで来たら少しだけ遠回りして小谷商店を通っていくのがおすすめです。小谷商店の蔵には、流山が水運の街だった名残を感じることができます。
慶応2年、太田虎五郎、武蔵国八条村の農家の三男に生まれる。日本橋の米問屋に丁稚小僧として奉公したのち、流山の小谷材木店の娘と所帯をもち、現在の場所に小谷虎五郎商店として米穀・肥料商の店を構える。肥料を販売し米麦を買い取り、江戸川を船で下り東京の穀問屋へ物資を運搬、また野田醤油(現キッコーマン)へ麦を納めるなどして商いを広げる。
蔵のシャッターに書かれた肥料、お米には大きな意味あったんですね。(たばこの意味は詮索しないのが大人のマナー)
3.3km 今上落(いまがみおとし)のちょっと良いとこ見においで
小谷商店と流山みりんで有名なかごや商店を抜けるとそこには今生落(いまがみおとし)という水路が見えてきます。
江戸川、利根運河、坂川、大堀川といった市民にとってメジャーな川に対して今上落自体、「流山にそんなとこあるの?」的なマイナーなスポットであるものの、その知名度に反して流山屈指の水辺の光景を目にすることができます。
どの季節に来てもその季節をその目で感じられますので、この冬に私の口車に乗せられて訪れてみるのも良いでしょう。
もれなくかごやさんでお土産を買って帰れば、立派な「流山小旅行」のできあがりです。
3.5km-8.5km江戸川堤防の朝陽を浴びて
今上落を過ぎて江戸川の堤防への階段を上り、土手に出ると、利根運河との合流点までしばらくの間、北上します。
土手の上は小高く視界も開けていますので関東平野の平野感を感じることができます。また日の出や常磐道の高架やネコチャン‼の景色に遭遇すると、布団の勝負の勝者のごほうびを得た気分で実に気持ちが良いものです。
刻一刻と高くなる陽や時折すれ違うランナーやサイクリストとの言葉の無い会釈かおはようございますの一言を交わして進む土手ならではの寡黙なコミュニケーションもまた気分のよい時間が流れます。
8.5km-11.0km かつての水運の街は今、物流の街へ
光合成をしながら江戸川を北上すると利根運河との合流点が見えてきます。ここで利根運河側へ右折し、利根運河沿いを進みます。
目下工事の進む新川耕地の物流施設のクレーンの在り様もまた今だけの景色なのだと思うと趣きがあります。
かつての水運の街は今、新川耕地の物流施設を中心として物流の街へと姿を変え始めています。時代を超えても今も昔も物流にはどうやら縁がある街のようです。
利根運河には神が棲む
このランの目的地は神の住まう運河。この土地に住む神の名は「BIRIKEN」。そう通天閣で有名なビリケンさんです。
流山にもビリケンさんがいて現在は縁あって黄金のビリケンさんが運河の祠にひょっこり鎮座されています。
由緒正しき素晴らしい神様ですので、困りごとや悩み事がある方は一度神頼みに行かれることをおすすめします。
その効能は万能で何にでも効きます。何しろ「THE GOD OF THINGS AS THEY OUGHT TO BE」万事あるがままの神さんなんて名前なんですから。
私も一つ早朝のお布団の五分五分の勝負が五分五分のままであるようお祈りしておきました。万事あるがままならば、其れで良いのです。
11km-17km うちに着くまでがラン
目的地の運河に着いたところでひとまずはおしまいです。各自気を付けて帰りましょう。
面倒くさくなったら運河からアーバンパークラインに乗って電車で帰るのもおすすめです。走って帰る場合は、流山街道沿いから野田線沿いのどちらかを選んで帰るパターンが多いでしょうか。住宅街を行くことになり、信号も多いですのでのんびりと交通ルールを守りながらペースを落として歩いて帰ったりするのもおすすめです。
ルート