2024.02.10
オールドレンズという1970年代以前の骨董品のレンズと現代のカメラを組み合わせて写真を撮ることがここ最近は容易にできるようになり、私もリケノンという私と同い年のおじさんレンズを持っている。
今日は、駅前での用事があったのでお散歩がてらカメラを持ってでかけ、リケノンおじさんを相棒に最寄り駅までの様子をパシャパシャと写真に撮った。
ピントは自分で合わせなければならなかったりと、リケノンおじさんにはオールドレンズならではの不便さもあるのだけれど、老眼が始まりそうな自分とのコンビは、これはこれでしっくりくる。
「ピントを外さないように、構図に合うように。そして自由に。」
撮影のための意識やひとつひとつの所作が丁寧になり、それに伴って時間の流れ方もゆっくりになる。しなければならない手順は増えるのに、一方でそれ以外に余計なものが削ぎ落されて大事なものだけが残る。
「歳を取るということは、そういうことかもね。」
おじさんは、所々掛けた傷から金属製の黒い筐体を手にした私にしっかりとした金属の冷たさを伝え、語り掛けには是も非もなく今日も一日、日々を重ねる。
