流山産八朔とクラフトビール「839」の爽やかな関係
和柑橘という言葉があります。レモンやオレンジなどの西洋柑橘に対して温州みかん、伊予柑、すだち、かぼす、八朔などの日本古来の柑橘類のことを指していて、これら和柑橘は、手間入らずとも言われる程に虫に強く実がなりやすいことから古くから農家の庭先などで栽培されてきました。
流山市内に今なお残る里山の一つ「大畔の森」に広大な敷地を持ち1600年代というから古くから農業が続く入江農園さんもまた、和柑橘の一つ八朔の木を植えています。さらには、敷地内で収穫したこれらの流山産の八朔を使用したクラフトビール「839」を作ってしまうという非常にエキサイティングな醸造家の一面も持っているのです。
このクラフトビール「839」は入江農園で収穫される八朔を元としてその名が付けられた通り、飲めば口中に八朔のほのかな香りが広がるアンバーフェイクラガーのクラフトビールです。私も昨年の入江農園収穫祭でIPAとも似て非なる和柑橘の八朔ならではの爽快な柑橘の味わいを楽しませて頂き、この839のファンの一人となりました。
839は収穫される八朔の量に強く生産量の影響を受けるため数量限定の醸造でレア度が高い幻の逸品となっていて、入江農園さんで開催される収穫祭か流山本町にあるかごや酒店で目にすることができたならば、間違いなく「買い!」ですし、実際に買い溜めするファンがいる逸品ともなっています。
今年もやってきました🍺
— 流山 かごや商店 三代目 (@kagoya_the_3rd) September 23, 2022
クラフトビール『839(八朔)』
流山の入江農園さんで獲れた八朔を使ったクラフトビール🍺
キンキンに冷えたグラスに美味しいビール🍺ん〜最高〜
今年も数量限定なのでお早めにどうぞ
330ml = 600円(税別)
#流山市 #クラフトビール #入江農園 #かごや商店 pic.twitter.com/JRBAqZag19
ボージョレヌーボーがぶどうの出来に味が左右されるように、839は八朔の出来に味が左右される他、醸造方法や味についても毎年スタイルが変わるのも特徴となっています。
そのため「今年の839は~」なんて語りをするのが、それはそれはディープな流山暮らしの人々の楽しみとなっていたりするのですよ。ホントホント。
Farming Holiday Vol.1 流山産八朔(はっさく)の収穫お手伝い
そんな入江農園さんは、おいしいしいたけが採れるしいたけ農家さんとしても有名ですけれども、最近はそのしいたけの方が多忙が故に今年の八朔を収穫する人出と時間が中々取れないという話を先日の農家ツアーの際にお聞きしたのでした。
839ファンの一個人としては一大事でしたし、また野菜の食べると作るをつなぐ「connect nagareyama」では、野菜を食べるだけでなく農家さんの作るをつなぐことも目標としています。
そこで今回は八朔を収穫するといういわゆる農家さんの野良仕事と週末のアクテビティとしての農作業を繋げる試みとしてFarming Holiday Vol.1を実施させて頂きました。
八朔の収穫体験アクティビティは、農家さんの野良仕事のお手伝いになりうる。
事前にconnect nagareyamaの公式インスタでFarming Holiday Vol.1として八朔収穫体験の募集を行い、手を挙げて頂いた数名の体験希望の方々とともに2023年4月22日の本日、八朔収穫のお手伝いを実施しました。
人手の足りない農家さんにとって普通の一般人がお役に立てるか不安に思うところもありましたけれども八朔収穫のお手伝いを実施した結果、懸念は霧散し、当初思っていた以上にお役に立てることがわかったのは、とても大きな発見だったように感じます。
八朔の収穫一つ一つの作業、例えば森に入り、八朔の木を探し、さらに高枝切りばさみを使用して八朔の実の付いた枝を切る、そして落ちた実を籠に集める。といった一連の作業のひとつひとつが普通には体験しえないアクティビティとなり得ること。またそれを楽しむ方々が多ければ農作業のプロに比べれば低い一人一人の作業効率もカバーできることがわかりました。
集まって頂いた方々とは、一連の作業の間、森の中の景色を目で楽しみ、葉擦れの音を聞き、八朔の爽やかな香りを嗅いだり、草木の上を踏んだり、高枝ばさみを持ち続ける握力の大変さ等々を共通の話題にわいわいと楽しむことができました。
「収穫ってそれ自体が祭りなんすよ。」とは入江さんの言葉でしたけれども、一人ひとりが協力して一人ではできないことを達成するのは、確かになんだか祭りみたいですね。
八朔が839になるための加工もしました。
八朔の収穫が皆が頑張ったおかげで早めに終えることができたこともあり、八朔が839になるための加工についてもお手伝いをしました。
具体的には収穫した八朔の重量を計り、殺菌し、八朔の皮の汚れを落とす。さらにはピーラーで八朔の皮を剥き実を絞るといった作業でした。
ピーラーで八朔の皮を見たのは実を絞るためではなく、ピーラーで剥いた皮そのものをレモンピールやオレンジピールと同じく、八朔ピールとして使用するためで柑橘の風味がよく出るとのことでした。
ちなみにピーラーの皮むきチャンピオンの仕事っぷりは写真の通り。入江さんの皮むきの手捌き本当にすごかったんですよ。ピーラーを使ってりんごの皮むきのように途切れることなくぐるぐると剥いてしまうのですから。
食べると作るをつなぐ新しい形
今回のFarming Holidayでの八朔の収穫を通じて、参加頂いた方々には入江農園さんとの関係をアップデートする場となりました。それまでの食べる一辺倒の関係性から、「繋がって、更にはお手伝いの形で支えて、ファンになる。」そんな新しい形の始まりが見えたように感じます。
農家さんとあれこれと話をしながら、今まではよく知らなかった口にするものがどうやって作られているのかを知り、さらに自分がお手伝いとして野菜作りに携わってみるというFarming Holidayの体験は、自分が作った料理は美味しくなるとか、愛着が湧くとかそんな感覚に近いでしょうか。
お手伝いを通じて農家さんの人手不足を埋めながら、参加頂いた方にはファンになって頂けるような、そんな形で食べると作るを結ぶ活動を続けていけたらと思います。興味を持って頂けましたら是非、connect nagareyamaの次回のFarming Holidayへご参加ください。
今日、八朔収穫に参加頂いた方々にとって今年のクラフトビール「839」が人生最高の特別なものになることを願うとともに、今後もFarming Holidayの活動を通じて、一人ひとりにとって流山の野菜が特別なものになるようおつなぎできればと思います。