4/9 Day2 自分にとってのリモートワーク初日のことを少し振り返る
リモートワークの初日を迎える。
私の職場での対応は、完全リモートとはいかずチーム分けしての1日おきでの輪番制での対応となった。
リモートワークや自宅勤務の人たちの発する「エア通勤」という言葉をTwitterのタイムラインで見ると、回転寿司が出現するまで「回らない寿司」という言葉がなかったように、出勤にも「リアル出勤」という言葉が一般的になるかもしれないなんてことを思う。そんな一つ言葉の意味がたゆたうのを観測すると時代の節目にいるのが際立って感慨深い。
培った習慣のおかげもあって夜更かしをしてもきちんと目が覚めたところで約1時間の散歩に出かける。歩き始めた矢先に「これがエア通勤!フフフ」と変な笑みがこみあげて「お巡りさん私です」状態になるもマスク姿なので多分誰からもわからなかっただろうし、そもそもそこまで人とすれ違わない。
駅前に向かうリアル出勤の人の流れは、井戸水が枯れないように底堅いものには思えたけれども駅前を抜け住宅街を逸れるとそれも変わってくる。人の往来もきつく締めるのを忘れた水道くらいにぽたぽたとしてきたところで秘境エリアへと入ったことがわかる。
流山市上新宿の秘境へ
今日の散歩先は流山市上新宿。地区の人口は98世帯258人で東側を東武野田線、南側を常磐自動車道、西側を流山街道に囲まれている。初石駅方面から流山ICを目指すときに通る守谷街道が流山街道と交差するT字路の手前側右手のなだらかな里山の光景のあたりが周辺になる。
上新宿一帯は、なだらかな丘陵地となっていて昔ながらの広々とした民家と森と畑が点在している。里山の風情が今なお色濃く残っていて「都心から近い森の街」のキャッチフレーズを身を持って体現する数少ない市内の一角と言っても差し支えないだろう。
住み心地の良さはずいぶん昔から定評があったようで、1万年と2千年前から「わかってる」人にはわかる場所だったようだ。
風の音に凪ぐ
上新宿の見事な竹林に朝の陽光が射す光景は穏やかでいて十分に気分を盛り上げてくれる。風が少し吹くと笹の揺れる音がカサカサと聞こえて心地よく響く。爽やかさに囲まれるようでこんな通勤なら毎日取り入れたいものだ。
里山の光景は、自分にとっての流山の原風景でもある八木幼稚園の園児だった頃の周辺の雰囲気とよく似ていて時が緩やかに流れている感覚になる。カーブミラーや少し寂びたトタン屋根とか背の高い木が道路を覆うくらいに高く立つとかそういう光景が自分にとっての原風景だった。波立たちがちな気分も(それはたとえ呼吸法を習得していなくとも)散歩一つで凪が訪れるなら、案外凪ぐことは簡単なのかもしれない。
子どもたちも家で暇しているから、今度散歩に連れて行ってあげようと思う。
地区内のこじんまりとした森の中にある八坂神社に着くと境内の木の枝には新たな葉がついていた。どんなときでも誰にも等しく一日は訪れてそして一日分の時間が過ぎる。葉は春らしく一日分またその勢いを増すのだろう。通勤時の読書のように眼前の光景からそんな読み解きをしてみるのも静かな示唆を見つけたような気分でやはり面白い。