気持ちが良いにある価値
全てを1から作ることができない私たちは、大概の必要なものを買い物を通して手に入れています。その日々続く日常の買い物では、野菜、お肉、牛乳といったスーパーでの日常の買い物からさっと済ませるコンビニでのランチまで、とかくコストパフォーマンスを求めがちにもなります。
2020年7月からの買い物のビニール袋の有料化に伴う梱包のセルフサービス化やここ1,2年程の間に導入が進んだセルフレジやセルフ清算レジにより、接客サービスを受ける機会は相対的に減り、お金の使い方にコスパとタイパがより幅を利かせている面もあるでしょう。
またその一方で、モノ消費からコト消費へのシフトも感じられます。可処分所得の多寡に得の要素が入り交じる買い物に、「What a material world!!(娑婆み!!)」とのたまいつつも、安さだけでは無い価値のあるナニカに漠然とした憧れを抱くというものです。
例えばそれは、お気に入りのお店に出会うこと、そして赴く度に心が晴れやかになること、オーナーや店員さんと交わす一言に宿るようなもので買い物におけるコスパで計れない気持ちの良さへの憧れとなるでしょうか。
モノ消費からコト消費へのパラダイムシフト
機能的価値が同じならば安ければ安い程、良いとされるVE(Value Engineering)思想でコストダウンする企業努力がかなりの水準まで行き着いてしまった感のある昨今、家計を覗けば乾いた雑巾を絞っても水は出ず、滴り落ちるは自らの汗と涙ばかり。最後の最後に知恵が出るなんていうのが2024年(令和6年)のわが家の火の車の状況です。
ただ、最後の最後に知恵が出るというのは、何とも救いがあるものでそこにはレイヤーが変わるパラダイムシフトがありました。端的には物を買うならば作ればいい。手を動かし技術を身に付ける。できる手入れは自分でするという方向性へのシフトです。
アッパークラス層におけるモノ消費からコト消費志向とは若干異なるものの、無い頭を使いながら彼是を身に付けてお金を掛けずに手間暇掛ける結果としてのコト消費に辿り着いたというのは、面白いものです。
若干の強がりは否めずともそこには、気持ちの良い買い物をすることへと繋がるマインドの醸成もあったようにも思います。
冬の準備へharumienへ
庭の手入れも必然、ほとんどのことは自らでやるスタイルへ変貌していて、縁あって知り合ったガーデナーに教えてもらったりしながら、樹木の剪定や季節に応じた草花の彩りのデザインを楽しんでいます。
先日は、季節の花の入れ替えのため間もなく訪れる冬に旬を迎えるビオラを求めて、千葉県柏市の奥手賀エリアにあるharumienを訪れました。
ビオラの季節の訪れ、冬の足音
harumienでも丁度ビオラの入荷が始まっていて店内は、選び抜かれたビオラの各種が彩られていました。
園芸店でビオラやパンジー、すみれを見かけ始めると秋がそろそろ終わり、冬がすぐそこまで来ていることを思わされます。harumienはこじんまりとしたセレクトショップのような佇まいですから、季節の濃淡にスポットライトを充てたようなラインナップが大きな魅力です。それは総花的でないからこそ季節の変わり目が際立つようでもあります。
まもなくホリデーシーズンもやってくる
屋外の園芸店に対して、店内には雑貨店が広がります。
店内はホリデーシーズンの雰囲気をまとい、来たるべく年末のお楽しみを一足早く楽しませてもらいました。
緩やかに自然光が差し込む店内はやわらかさに包まれていて、アンティークがその渋さと魅力を静かに語りかけます。
インスピレーションが降りてくるような「イメージが浮かぶ」体験に値札は付いていませんけれども、素晴らしい体験の一つとなることでしょう。
心晴れやかなコトを始める
草木や季節の花々を購入したときの満足には、買った瞬間にピークがやってくる事は無く、水や肥料を挙げて育む中、花が咲き盛るまで緩やかに、しかしながら着実に日々毎に増していきます。
お気に入りのお店に出会うこと、そして赴く度に心が晴れやかになること、オーナーや店員さんと交わす一言に宿るようなもの。それらもまた存外、買った瞬間すぐにはやって来ず、少し思い返したとき秋の陽光のようにじんわりと心を温めるようにやってくるような気がしています。
長くやさしい眼差しで取り組み、実りに期待する。そんな姿勢が身に着いたならば、おおよその買い物は、ほとんどが買い事だったとなんて言えるようになるでしょうか。
harumienを訪れると、草花を育てるになぞらえたそんなattitudeのことを思います。