2024.10.17
人生何度目か知れない満月を見上げる。煌々とした円球は真鍮に浮いた緑青にも似た緑掛かった碧色の宵闇に囲まれていた。
円球体をしばらく見上げても何の変哲もないところを見ると、私には尻尾の生えた戦闘民族にもMan with a missionの新メンバーになることも恐らくは無いのだなあと残念とも安心とも付かない感情を覚える。
空想と現実との間は、月ほどに離れていて空想をそのまま叶えることは難しい。
月に辿り着く人は一握りだろうけど、その一方で月光りは雲間に屋根に見上げる限りその瞳に等しく届くのだから、有り様はあるのよねとダジャレを飛ばし、今日もまた地を這っている。
そして見上げる月には見上げる月の美しさがあることを今宵もまた思う。