2024.06.18
朝夕の通勤で読む文庫本を昔読んだことがある伊坂幸太郎のジャイロスコープを手に取り、一冊を読み始める。
二、三年前を最近と言ってしまう時間軸で暮らしていると、昔読んだことがあるの昔が平気で十年、二十年前になってくる。そうともなれば読んだという事実は覚えていても内容はもれなく忘れているので読み直しの大半は新鮮な読書体験になる。
時折、先の展開が予想通りに進んで自分の筋の良さにニッコリするのだけれど、それは既視感でも何でもなく既視そのものだ。まあまたそれに気づいて一粒で二度ニッコリできるのだから、読み直しは楽しいのだとも言える。
もしも人生の二周目があったとしても、これくらいの鳥頭の方が退屈しないだろうか。
強くてニューライフの万能感も自分には無用の長物で、時に忘れて時に思い出すような二度目の美味しさがないし、別にノーセンキューだなあと思い至る。