2024.05.10
予定した打ち合わせの全てが終わり、遅い昼食を取るとにわかに晴れやかな空気が立ち込めてきて、週末の訪れを告げる高揚感がやってくる。
ラストスパートとばかりに背中を押してくれた高揚感とともに仕事をやりきると、目の前に訪れた金曜日の夜は、私の足取りを軽くして、寄り道を誘う。
今朝、それを見越してバッグに忍ばしておいたカメラは、退勤後、肩にバッグに掛かる重みでその存在感と出番を伝えるものだから、街の様子でも眺めようかしらと丸の内に立ち寄ることにする。
KITTEの時計が告げる18:50、暑さも寒さもない爽やかな風が抜けていく五月の街は、まだ仄かに明るく、街行く人は誰もが足取り軽く見える。
持参したオールドレンズのリケノンは、ピントを合わせるのが手動で一枚の撮影に時間が掛かる。そこで生まれるフォーカスのためのひとときは、私にとっては二日月の細い月に微笑みを返したり、道行く人を見届けたり、デッキ佇み風景に溶けていく至福の時間となる。
出来上がりの写真は、 華美でも地味でもなく金曜日のそのままを映していた。