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本気出すチョコレート

My life
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2024.02.13

微笑みをたたえた三日月が西の空に落ちる頃、最寄り駅に着き家路を帰る。
ほどなくして自宅に着き、玄関ドアを開けてリビングに入ると、普段はソファでのんびりしているはずの家族がおらず、皆がキッチンに集合していた。

夜の8時を過ぎ、夕食を終え夜も更けようかという今まさにこれから、2月14日の一大イベントのために本気を出そうとするこどもたちと付き合わされた妻の姿がそこにはあったのだった。

普段は、ほとんどキッチンにいることのない娘は、気合十分といった風情で髪を結って立ち、一時の主として早速バターを混ぜ始めようとしている。

その姿を見るにつけ、ギリギリまで物事を先延ばしする遺伝子とギリギリにはやり切る遺伝子の存在との2つを思い浮かべる。
それらがどうやら子どもに遺伝したことをすまなく思う一方、火事場の馬鹿力を発揮できるタイプであることを頼もしくも思う。

当の本人は余裕が無く必死そうだったけれどもオーブンレンジに入れられた菓子が、焼成され焼き菓子へとなる様子を見守り、焼き上がりを確認した後には、やりきった安堵の顔を浮かべていた。

次回のてんやわんやは、遅くとも8月31日にはやってくるだろうか。
今から予定を空けて置こうかな。そんなことを思う夜の出来事だった。

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