東京駅丸の内側を降りて左手すぐにある商業施設KITTE内にあるインターメディアテクを久しぶりに訪れました。
昭和モダニズム溢れる館内に展示される標本、はく製、治具は、今日一日分の重さを静かに積み重ねては先人たちの叡智を鈍くそして確かに私たち見る者たちに届けてくれていました。

インターメディアテクとは、「間メディア実験館」
インターメディアテクは、日本郵便株式会社と東京大学総合研究博物館が協働で運営をおこなう公共貢献施設で、入館は無料です。その名は各種の表現メディアを架橋することで新しい文化の創造につなげる「間メディア実験館」に由来しています。
接頭語「inter」には、異なるもの同士の関係性や、物事の間に作用するという意味合いがありますから、そこには訪れた人にただ情報を受け取るだけでなく、何かのきっかけとなることが込められているように感じます。

多種多様な展示の一つ一つを目にする度に、この場に形を留めてあることに先人から続く気の遠くなうような学術探求の姿勢が今なお続いていることに敬服の気持ちが湧きあがってきます。

一日でも一時間でも
インターメディアテク内に展示品を一つ一つを丁寧に見ていけば、一日では足りないですし、インパクトのある展示物を見るだけなら一時間でも十分足ります。そこにどれだけの時間をかけるべきかなんて問いにも正解はきっと無いのでしょう。


残された記録を頼りに、今日を越えてゆく
そしてまた博物館に来るべき人というのは、専門家で研究者でも興味のある人に分け隔てられることはなく、市井の人にもその門戸が開かれていることを想います。来るべき人というのも敷居が高いと思っているのはこちら側の幻想で、かけるべき時間と同じく元からそんな人はいないのでしょう。
どんな形でこそあれ、「inter」の言葉には、過去から受け継がれた遺産が現代の私たちに作用する願いが掛けられているのだと想ったとき、展示の一つが何らかの糧になったならば博物館としては、もうそれで充分なのかもしれません。
24時間で消える有象無象のストーリーがある一方、この場に形を留めて残り続けるものがある。
そんな今日一日分の重さを増していく叡智の欠片が、そんな眼前の嵐の羅針盤となるなんてこともまたあるでしょうか。一見便利に見える現在において、双方向だったと思っていたメディアは効率化の結果、一方化が進み、溢れるばかりの情報の海に辟易することが少し増えてきました。
流されそうになることもしばしばですが、時には残された記録をよりどころにして、今日を越えていく頼りとしていく。そして継続して自らも記録を残し続けた結果、数十年後のインターメディアテクに何かしらの形となって展示品が残っていた…なんて話を空想しながら、私は私の今日を超えていこうかと思います。
