向かい合った踏切の遮断機の鐘を互い違いにカンカンカンカンと鳴らし合う中、その音が重なるように。
ハザードを点けた前後の車のオレンジのチカチカと点滅する中、その光が重なるように。
時計の長針と秒針が1分に1回、その針を重ねるように。
世の中には、タイミングが合って重なり合うものが、いくつもあります。
どれもこれも簡単には揃わないものですし、必ず揃うことを経験的に知っているものであってもその時を待つのは七夕のお星様がご存じの通り骨が折れるものです。
それゆえに終ぞ重なるとも知れないものが邂逅する瞬間は、まさに偶然の一致であり、大変尊いことのように思います。
邂逅の例で言えば、サブスクの音楽アプリから流れてくるおすすめが刺さるなんてものも一つでしょうし、テレビから流れてくるCMなんてものもその一つになりうるように思います。
タイミングは一瞬だけど一瞬じゃない。
受験期に流れてくる大塚製薬のカロリーメイトのCMは、そのタイミングを外すことなく大人にとっては懐かしく、学生たちにとっては今を、そしてこどもたちにとってこれから来うる未来を指し示してくれているように感じられました。
CMの120秒が示すもの、広告表現におけるクリエイティビティについては専門家の解説に任せるとして、ライフイベントの一つ「受験」という経験のある私たちは、このCMに一瞬にして往時の記憶が呼び覚まされ、その手元にあったもの(=カロリーメイト)にも思いが及びます。
重なった一瞬は、記憶に残る限りそして呼び覚まされる限り、一瞬では無くなるのでしょうね。