ひなびた銭湯あります。江戸川台の江戸川湯

ひなびた銭湯あります。江戸川台の江戸川湯

日差しの強い夏のある日、一日中体を動かし続け、手つかずだった掃除や家事をこなしその目的を遂に達したとき、そこには一日の成果とともに滴る汗や何とも気持ちのいい達成感が残ります。

全てをこなしきった日暮れ前、誰が褒めてくれるでもないその汗を拭いながら、「さて、ひとっ風呂どうすっかね?」と今日一日流した汗と自分へのねぎらいを考え出すと自然と笑みがこぼれ、よい一日の締めくくりを意識しだします。

傾き始めた西陽が照らす頃に入る黄金の湯舟はとても気持ちが良いもので、湯舟のきらめきには素敵な魔法がかかっているのではと思えるほどの特別感があります。

この明るい時間のお風呂カードをわが家のお風呂で使うのもいいけれど、こんなに汗をかいた日は広い湯舟に入るのもいいよねなんて考えていたら、ふと頭の中に大きな煙突の光景が浮かんできました。

銭湯の煙突

その光景は、記憶からそして時代からも忘れ去られてしまいそうな銭湯の煙突。

「ああ、そういえば!」と流山市内に一つ銭湯があることを思い出したとき、夏、汗、達成感、夕暮れ時、全てのピースが整ったことに気付きました。

「行ったことなかったけど、こりゃいっちょ試してみっかねー」とその気になったら何とやら。嬉々として急いでデイバッグにお風呂グッズを詰め込んで向かった先は、江戸川台。

さあ今日は一つひなびた銭湯でのひとっ風呂のお話といきましょう。

煙突の主は、江戸川台のひなびた銭湯。江戸川湯

頭に浮かんだ銭湯の煙突の主は、江戸川台にある江戸川湯という銭湯です。
東武アーバンパークライン(野田線)の江戸川台駅の東口を降りて徒歩4分程、東口商店街を抜けると江戸川湯の大きな煙突が目に入ってくるのが目印になります。

江戸川台の商店街のアーケード

唐揚げのおいしいお弁当やさん「おかあさんの詩」などの名店の並ぶ江戸川台東口商店街のアーケードを抜け、黄昏れ始めた街並みを横目に京北スーパーとパン屋さん「LIFE」の交差点に出てきたところで冒頭の銭湯の大きな煙突が見えてきます。立地的にはスーパーカドヤの裏手になり、煙突を追っかけていけばさほど迷うことなく辿り着くことができます。

江戸川湯全景

 

江戸川台に煙突があることは以前から知っていたものの訪れたのは初めてで、入り口まで来ると自然とひとっ風呂浴びる気が高まってきます。

アクセス、料金など

営業時間:午後2時から午後10時30分まで。

定休日:第1,2,3月曜日

料金 :大人430円 中人170円 小人70円

住所: 千葉県流山市江戸川台東3丁目4

Advertisement

ふるきよきもの

江戸川湯の玄関をくぐった瞬間、一瞬でタイムリープするようなトリップ感におそわれます。

夕暮れ時、江戸川湯の玄関

入り口の玄関をくぐる1歩にまさか半世紀分の歩みがあるとは、思いもよりませんでした。

令和でも平成でもない「昭和」の、それも映像でしか見たことのない昭和40年代の世界が確信を持った空気とともに眼前に拡がります。文化遺産と言っても差し支えのないその銭湯の佇まいが、玄関に下駄箱に番台に銭湯のそこかしこに醸されているのですから。

一瞬の驚きとともに玄関を入ると右手に傘入れと下駄箱がありますのでここで靴を脱ぎ、木札の鍵を取ります。

下駄箱と傘入れ

ちなみに番台のおっちゃんは、いい感じに気の抜けた股引きスタイルで接客してくれるので一見の価値があります。

私の訪問時は番台に人がいなくてキョロキョロしてしまっていたら、番台脇の休憩所のソファで気持ち良さそうに休んでる先客だろうと思しきおっちゃんがよっこらしょと立ち向かってきて、何かのフラグを身構えた矢先に「はいー430円ねぇ」と声かけてくるくらいの気の抜け具合と言ったら伝わるでしょうか。

番台

そこでようやく入浴料金を番台のおっちゃんに支払い、番台の左右で分かれた男湯、女湯へそれぞれ暖簾をくぐって脱衣場へと向かいます。
江戸川湯は昔の銭湯スタイルなので備えつけの石けんやシャンプー等は浴場内には無いので持参するのがオススメです。
もしお忘れの方でも番台にもタオル含め取扱いがあるので買い求めることができます。

暖簾をくぐるとそこは脱衣所だった。

暖簾の先には銭湯らしい天井の高い脱衣所があります。
天井の高さと相まって西陽の穏やかなオレンジが脱衣所を照らすと、江戸川湯の剥き出しのレトロがより一層色濃く映し出されます。

西陽射す天井の高い脱衣場

黄金の湯舟への期待が高まりながら、ここで服を脱ぎ、脱衣所のロッカーに荷物をしまいます。

服を脱ぐと、江戸川湯をレトロに照らした夕陽は今日一日を頑張った素っ裸の私の身体を照らし、体に浮き出る汗をオレンジに輝がせます。
その汗はいつも流れるいつものものに変わりはなくとも、夕陽のプリズムが浮き立たす今日一日の頑張りとねぎらいは、「毎日なんとかやっている」という気付きを得るには十分で、すべてが解き放たれれるときが近いことを悟ります。

脱衣所の籠も銭湯のそれです。

 

覗いちゃ駄目なやつ

銭湯らしい浴場内 確かに熱い45℃

脱衣場からは、メインの浴場と露天風呂への入り口の2つがあります。浴場と露天風呂は繋がっていないので脱衣所を介しての移動になりますのでご注意を。
銭湯らしい風体のメインの浴場は20台ほどの洗い場があり、広さは十分です。ベーシックなスタイルのボタン式の蛇口とシャワーと少しくすんだ鏡が付いていて、ここで体を洗いまずは浮き出た一日の汗を流します。流した汗が報われる瞬間が来た時、身近な幸福はわりとこういうところにあるものだよなあなんて思いが巡り始めます。

とはいえ、洗い場はまだまだ序の口で奥手に見える湯舟が目的地であることは、身体が知っています。洗い場だけでは満足してくれることはありません。
奥手の湯舟へ近づくと備え付けの温度計は45℃を指し示し、数字の暴力と一瞬の躊躇を感じるところではありましたけれども意を決して「えいやー」と入ったその湯舟の心地、しばらくは忘れられないものになりそうでした。

汗流しにきたのか汗をかきにきたのかがわからなくなる熱さそのもの3分と入っていられない熱さ。けれども家族持ち子持ちの家風呂では入りようのない驚異の45℃の湯舟は、確かさをもって体をひりつかせ、溶けないと思っていた疲れを溶かす感覚がありました。家の湯舟のきらめきがメルヘンチックな魔法ならば、江戸川湯のそれは人を殺しにくるような呪術的な強さをもった刺激に溢れていました。簡単に言うと「何解き放つんだっけ?」っていう色々な思いが真っ白になるレベルです。

滝のようにかいた一日の汗を超えるような汗を3分でかいたその後、水を被って凝りもせず隣のサウナに向かいます。
サウナも熱さも90℃越えの「ヤバいやつ」なので正直に言って3分も入っていられませんでした。このサウナの熱さも間違いなく疲れを溶かすもので「醒めていたなにか」がなくなる実感があります。

極めつけの夕陽差す露天風呂で声にならない「うがぁぁ」の声を出して熱さの郷に入ったならば、そこには煩悩も溶ける悟りがやってくる感じがあり、間もなく「驚きの白さ」に包まれることとなりました。整ったという昨今の流行りももしかしてこのことなのかもしれないですね。

「左手を腰に沿えて」あります。

汗をかききり、頭が溶け切ったところで風呂を上がり、新しい下着と服に着替えてもれなく入口に戻ってきます。
入口には狭いながらもソファの並ぶ休憩所と、お風呂上りの喉を潤すつめた~いものがいくつか取扱いあるので、番台のおじちゃんに支払って風呂上りのひと時を過ごします。

左手を腰に添えたくなる牛乳からジュース、ビールなども一通りありますから、ここでのんびり一休みがオススメです。

腰に添えて一杯いかがですか

休んでいる最中、銭湯を行き来する方や常連の方たちを見ていると、みんな風呂上りは幸せそうで少しスッキリした顔でいてゴールデンタイムを過ごしているのが見て取れたのは、訪れて良かったです。目新しい美しさとは対極にある剥き出しの江戸川湯の古さの中には、何気ない生活の営みが時を経て重ねてきたものの存在を確かに感じることができましたから。

番台脇の休憩所

お帰りの際は、50年の時を戻る時間旅行がありますから、忘れ物に気をつけて帰りましょう。

黄昏はまだ先であってほしい

江戸川湯のゴールデンタイム、頭が真っ白になるレベルで素晴らしいものですから、できることなら次世代に受け継がれたらいいなと思います。
後継者がいらっしゃらず、既存施設がいつまで使えるかもわからないことも聞いていますし、銭湯内には懐かしさと言えば聞こえのよいボロさも見受けられます。その黄昏が近くに及んでいることが肌でわかるこそ、今行けるときにできるだけ多くの方に体験していただけたらと思います。

でももし残せるならなんてことを思うと、流山版DMOにも期待をしてみたいところです。

千葉県流山市・千葉銀、観光振興で提携協定

2019/7/25 20:18

千葉県流山市と
千葉銀行は25日、旧市街「流山本町」や利根運河付近に点在する古民家や史跡を活用した観光振興に向け、連携協定を結んだ。千葉銀のもつ地方創生に関するノウハウを生かし、2020年度にも観光地経営組織(DMO)を立ち上げる。

千葉銀がDMOの立ち上げに関して県内自治体と連携するのは、大多喜町に次いで2例目。持続的に運営するため、レンタサイクルの実施や有料駐車場の運営などを通して収益を確保し、古民家の保存・活用や集客イベントの開催に充てる計画だ。古民家を買い取ってサブリースすることも検討している。

市はこれまでも、流山本町の古民家をレストランなどに改修して観光資源にしてきたが、相続による売却などで古民家が減少。市が買い取ったものもあるが「民間活力を入れた仕組み作りが必要」(市流山本町・利根運河ツーリズム推進課)とDMO設立に向けた検討を始めた。

DMOでは市内外の事業者から人材や出資を募り、将来的には民間組織として独立した仕組みを目指す。同課は「DMOをきっかけに、民間での観光振興の動きを加速させていきたい」としている。

市は16年、京葉銀行とも観光振興を含む地域活性化に関する包括連携協定を結んでいる。

古民家を活用と観光振興を目指すDMO(Destination Management Organization)が立ち上がり、主に流山本町と運河地域の観光振興に乗り出すこととなりました。

観光資源としてターゲットにしているのは、古民家とありますけれどもこの先、「昭和の街並み」も今後は古民家化していきますし、文化遺産レベルの銭湯がひっそり江戸川台にあることを街の観光資源の一つとして活用することも検討して頂けたらと思います。江戸川台の商店街の街並みと相まっていい線行くかもしれませんしね。

 

I ♥NYカテゴリの最新記事