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ありふれた郊外、ありふれた光景、キリンジ「エイリアンズ」

My life
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遥か空に旅客機 音もなく
公団の屋根の上 どこへ行く

この歌い出しで始まるJ-POPの屈指の名曲キリンジの「エイリアンズ」がLINEモバイルのCMで使われていることを先ほどテレビで見て知りました。
(参考)キリンジ「エイリアンズ」のん出演LINEモバイルCMソングに
http://natalie.mu/music/news/224753
旅客機と書いてボーイングと歌い、公団の屋根の上と続くその歌詞は、とある郊外の夜を歩く光景と二人の心象が淡々と綴られていて、曲の出た17年前の私に鮮烈な印象を残してくれました。
大変美しい曲ですから興味のある方は、是非聞いていただけたらと思います。


この歌が私の琴線に触れたのは、歌の舞台が煌びやかな世界や東京の中心の話でなく、「何てことない郊外のどうしようもない真夜中の二人の話」が、きっと自分の住んでいる街の光景と心象に重なってしまったからでしょう。

大学生だった当時、取り留めもない事情で時折、柏駅からの最終バスを逃し、豊四季団地を抜けて流山と柏の境目にある自宅までの家路を歩いて帰ることがありました。
そんな真夜中の帰り道、公団の上を行方の知れない旅客機が飛んでいく様を見つけては、この歌とまさにシンクロしているなんて思いながら家路を帰った事、今思えば私を形作った貴重な経験の一つのようにも思います。
若さ故の所在無さや、先々の人生の見通しの暗さまでもが、宵闇を照らすか細くやさしいはずの街灯や月明りのおぼろげな光によって浮かびあがってしまうそんな人の心のか弱さ、心象、情景が心に流れ込んでくるような歌です。

陽の当たる場所からは眩しすぎて見えず、逆にまったくの暗闇からは暗すぎて見えないもの、例えるなら自分の心の隅に隠しておきたい好きな人への思いだったり、繊細な疎外感までもが、「エイリアンズ」という言葉に現れています。
舞台の特別さは何もなく、淡々としたその光景故に、きっと一人ひとりの生活の中にもありうる瞬間に思えてきます。照らしてはいけないはずの心の奥底に触れてしまったような言葉の塊の美しさと儚さが心地良く響きます。

キリンジ エイリアンズ

流山すみずみ
https://nagareyama-sumizumi.com

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